世界中に散らばる「華人」。商才、故国への離反と忠誠などのイメージが先行しているなか、記号としての「華人」はしばしば一つの物語となる。そもそも「華人」や「華人文学」とは何か。便宜上の分類もあれば、イメージをすくいあげるための装置にされた場合もある。文学を通して「華人神話」の真の姿に迫る。
目次
【特集】
- 巻頭言張 競
- 華人文学という迷宮へのいざない張 競
- 越境する創作高 行健
- 生き残るための言語ハ・ジン
- シルクパンク詩人であり、エンジニアである私ケン・リュウ
- 異郷ヨーロッパの文学者たちジンバット
- 「南洋」文学と中国的なものE・K・タン
- アメリカの中国語文学シャオファン・イン
【論考】
- 「海のアジア」のいま、むかし宮城大蔵
- 「越境者」から考える日本の近代塩出浩之
【写真で読む研究レポート】
- ファッションから衣服の問いへ――歴史の現在に立って小形道正
【地域は舞台】
- 「タピスカロイ」を祈る人たち 沖縄県竹富町小浜島への旅
うふたき会と小浜島ばあちゃん合唱団(沖縄県竹富町)阿川尚之
【世界の思潮】
- 「話が通じない」トランプ時代の論壇
――ジェームズ・ブキャナンは雇われガンマンか?若田部昌澄
- 少年哲学者の歴史木村 洋
- イスラームという「例外」が示す世俗主義とリベラリズムの限界池内 恵
【時評】
- 遠ざかるわが町 わが書斎芳賀 徹
- 世界一短い往復電報高階秀爾
- 「聴覚文化」の光と影渡辺 裕
- 利休と山崎藤森照信
- 夢のまた夢奥本大三郎
- 肩書き無用の人となる――追想・下河辺淳御厨 貴
- ウラジオストクに映る近代日本細谷雄一
【対談 Correspondence】
- 自由民主主義の危機と克服に向けてビル・エモット+田所昌幸
【連載】
- 世界史の変容・序説――中国宋代から考える 第二回三浦雅士