「日本文化」は「日本」の専有物ではない。それは非「日本」によって消費されるだけではなく、再生産され発展させられ、そして創造されてきたことに思いをいたそうではないか。「日本」に住む我々自身が、気づいていない「日本文化」を再発見し、新たな文化の試みに乗り出すために。
目次
【特集】
- 巻頭言
- ふたつの「中国化論」――江藤淳と山本七平與那覇潤
- 「日本料理」への懐疑四方田犬彦
- マンガは光琳を超える井上章一
- 日本のまんがは「日本的」ではない大塚英志
- 共鳴する日本音楽徳丸吉彦
- 世界とつながる紅白歌合戦太田省一
- 大乗化する茶の湯岡本浩一
【論考】
- 二つのキリスト教世界――ウクライナ危機の文化論的起源下斗米伸夫
- ウクライナ・アイデンティティ――その多様性と雑種性アンドリー・ポルトノフ
- 鈍牛・哲人宰相と知識人たち――大平総理の政策研究会をめぐって宇野重規
【写真で読む研究レポート】
- 一九〇〇年の楊貴妃――矢崎千代治《教鵡》と正岡子規、鏑木清方今橋理子
【地域は舞台】
- 光と音のページェント 見よ群舞の力、一瞬の身体の輝きを!
――YOSAKOIソーラン祭り(北海道札幌市)御厨 貴
【世界の思潮】
- 「世界の多様性」による「境界線」王 柯
- 消費中毒と生産技術神門善久
【時評】
- ノワイユ伯爵夫人――忘れえぬおもかげ芳賀 徹
- きらめく朦朧体高階秀爾
- 甲子園と第一次世界大戦田所昌幸
- 「少女車掌」の「説明」する風景渡辺 裕
- 謎のマイスター制度藤森照信
- 集団の記憶はまだらボケ奥本大三郎
- 新しくない憲法のはなし苅部 直
【追悼】
- 「史・哲・文」の人――粕谷一希氏を偲ぶ河野通和
- 粕谷さんと僕――永遠の先輩後輩関係御厨 貴