最新記事
株の基礎知識

「資産運用は簡単」の時代が日本にも到来?...実は「株価上昇しか知らない」世代は15年前から増えていた

2024年4月10日(水)17時55分
石井僚一 ※かぶまどより転載

アメリカで資産運用が盛んなのは、そもそも「運用によって資産を増やすことが簡単」という背景も、少なからず影響しているのではないでしょうか。個別銘柄を選ぶ必要のない株価指数への投資で誰でも簡単に資産を増やせるなら、資産運用が広まるのは当然と言えます。

日本にも資産運用の時代が到来?

新NISA制度がスタートした今年2024年は、日本における「資産運用本格化元年」とも騒がれています。確かに新NISAは、制度の変更によって昨年までのNISAに比べると使い勝手が大幅に向上しました。それでも、実際に利用しているのは一定の層に留まっているのが現状でした。

そんな状況が、日経平均株価が史上最高値を超えたことで、大きく変わる可能性があります。

「失われた30年」の間、つまり日経平均株価がバブル期の高値を超えられずにいた間は、日経平均株価やTOPIXなどの株価指数によって資産を増やすのは難しかったといわざるを得ません。それどころか、バブル崩壊から2008年まではずっと下落が続いており、手出し無用の状態でした。

ただ、投資は「いつ始めるか」というタイミングが非常に重要です。

資産運用では基本的に、長期投資(株式や投資信託の長期にわたる保有)で資産を増やすことを目指しますが、その場合でも、タイミングの重要性は変わりません。同じ金融商品でも、タイミングが違えばパフォーマンス(成果)がまったく異なることは、よくあります。

実は日本でも、2009年以降に運用を開始していれば、簡単に資産が増えた可能性が高いのです。というのも、日経平均株価は2009年3月に底打ちした後、一時的な下落はありながらも、長期的に見れば基本的には右肩上がりの状態だったからです。

newsweekjp_20240410085258.png

たとえば、2009年頃に社会人になってからすぐに資産運用を始めていれば、2024年までに15年の歳月が経過しています。そういう人にとって、日本株だけで資産を増やすことも比較的簡単に感じられている可能性は否定できません。アメリカ人にとっての資産運用に近い感覚でしょう。

「バブルを超えた」「失われた30年が終わった」といった表現ばかりが注目され、これまで株価が完全に停滞していたかのようにも思われがちですが、実は、株価上昇しか知らない世代が国内でも増えている、ということです。

日本の資産運用を取り巻く状況は、すでに変化しつつあるといえるのではないでしょうか。

(参考記事)平成バブルと並んだ令和の日本株 その実態を3つの視点から読み解く

高値更新が意味する「全員が含み益」

ここまで日経平均株価やTOPIXといった株価指数による資産運用について述べてきましたが、それらに直接投資する(指数を買う)ことはできません。それらの指数に連動するように設計された投資信託ETF(上場投資信託)を通じて投資することになります。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米CPI、4月は前年比3.4%上昇に鈍化 利下げ期

ビジネス

米小売売上高4月は前月比横ばい、ガソリン高騰で他支

ワールド

スロバキア首相銃撃され「生命の危機」、犯人拘束 動

ビジネス

米金利、現行水準に「もう少し長く」維持する必要=ミ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 2

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史も「韻」を踏む

  • 3

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダブルの「大合唱」

  • 4

    それでもインドは中国に勝てない...国内企業の投資意…

  • 5

    マーク・ザッカーバーグ氏インタビュー「なぜAIを無…

  • 6

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 7

    奇跡の成長に取り残された、韓国「貧困高齢者」の苦悩

  • 8

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    中国のホテルで「麻酔」を打たれ、体を「ギプスで固…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 6

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中